ウィーン(オーストリア)の本流の舞踏会は、まずオープニングセレモニーが華やかに開かれ、そこで「デビュタント」と呼ばれる若い男女がダンスを披露します。デビュタントの女性たちは純白のドレスを着ることが多いです。もともとデビュタントには“社交界にデビューする”という意味があったと言われていますが、現在はそのような目的で参加する人はほとんどいません。両親に勧められたから、青春の思い出に、女の子に頼まれたから、楽しいから、といった理由で参加する人がほとんどです。デビュタントとして参加すれば、舞踏会のチケット代が無料、もしくは割引になるのもモチベーションとなっています。それによって、オーストリアの舞踏会には今でもたくさんの若者たちが参加しています。彼らはごく普通の一般家庭の子供たちです。デビュタントの条件は、適した年齢で未婚であり、ワルツが踊れること。これらの条件さえ満たしていれば、誰でも気軽に参加できます。他国でみられる一部の富裕層が集まって開催されている“デビュタント・ボール”とは全く違う文化です。ウィーンの若者たちが熱心にダンススクールに通うのは、デビュタントとして踊るのが目的の一つです。