日本とウィーンと分けてご回答します。日本で開催されているダンス・パーティは、大きく二つに分かれます。 一つはダンス教室主催のパーティです。ダンスを趣味にして教室に通って習っている生徒さん達が年に1回か2回、それまでの練習成果を発表することが大きな目的になります。先生と生徒さんによるデモンストレーションや数組で種目ごとに踊られるトライアルなどがプログラムのメインです。その合間に短い時間のフリーのダンスタイムが設けられている感じです。参加するのはその教室の生徒さんや家族、友達、他のダンス教室の生徒さんたちなどです。その教室以外のプロの先生たちもたくさん参加してパーティの最後にプロフェッショナルショーが行われるのが普通です。ホテルで開催されることが多く、全員着席でコース料理や高級お弁当が提供されます。参加費はそれなりの金額で、デモやトライアルの出演する場合は参加費とは別に費用(出演料、選曲料、振付料、お相手料など)がかかります。 もう一つはダンスサークルや個人のダンス愛好家が主催するパーティです。こちらはサークルに所属する人や他のダンス愛好家が参加して開催されます。たいていは公共の施設(公民館など)が会場となり、踊ることがメインでダンスを趣味としていない人の参加はあまりありません。ダンスフロアーの周りには椅子が置かれていて自由席で利用できます。お菓子などが提供されることはありますが、食事はない場合が多いです。ドレスコードはあまりうるさくなく、練習着で参加しても咎められることはありません(個々のパーティにより違います)会費は高くなく(1000円以内)と参加のハードルは低いので、パーティというより練習の場として参加し他の人とは全く踊らないペアもいたりします。種目別の曲が次から次へと流れてフロアーでダンスが続きます。 これ以外にお金を払って踊るために行くダンスホールやダンスパブ、男女のアテンダントがお相手をする商業ダンスイベントがあります。こちらは典型的なダンス・パーティとは言えないので省略します。「ダンス・パーティ」と謳っていてもその内容をよく確認すべきでしょう。
次にウィーンの本流の舞踏会ですが、そもそもウィーンで舞踏会に参加する人たちは必ずしもダンスを趣味にしている人ではありません。ウィーン(オーストリア)では中流階級以上の家庭の子女は一般教養としてハイスクールからダンスを習うのが普通です。日本の習い事と同じ感覚です。それによって基本的なダンス技術はもともと身につけているので、男女とも舞踏会に参加して踊るのは特別のことではないです。舞踏会はさまざまな職業団体や組織などが主催することが多く、そこに所属する人たちは年に1回舞踏会に集まって旧交を温めるのが目的になります。そのため、踊るだけでなく交流することも大切でダンス技術よりも基本的なマナーやドレスコードの方が重視されます。多くの舞踏会で主催団体に関係のない人や観光客でも参加できますが、マナーやドレスコードを守らなければいけないのは同じです。 ウィーンの本流の舞踏会ではプログラムがしっかりと決められています。まずオープニングセレモニーが華やか開かれ、そこで「デビュタント」と呼ばれる若い男女がダンスを披露します。(デビュタントにつきましては別項目をご覧ください)その後もプログラムにそって整然と進行していきます。参加費は日本で考えられている以上にリーズナブルで、国立歌劇場舞踏会のような特別な舞踏会以外のチケットは直前や当日でも入手することができます(舞踏会により違います)舞踏会場にはダンスフロアーごとにテーブル席が用意されています。こちらは事前予約が必要で有料となります。テーブルでは飲み物を注文することが可能です。もちろん席を購入せずに踊るだけでも構いません。テーブルでなくてもバーカウンターに行けば飲み物を頼むことが可能です。また、開始から終了まで長い時間開催(22:00~翌朝5:00など)されるのが一般的なので、最後までいなければいけないこともありません。観光客は24時を過ぎると帰る傾向があります。逆に地元の人はフロアーが空いてくる時間帯になってから踊り始めたりします。 両国を比較するとダンスを踊る場という意味では同じですが、ウィーンの本流の「舞踏会」と日本の「ダンス・パーティ」ではかなりの違いがあることがお分かり頂けると思います。ダンスはそれぞれの楽しみ方があってよいと思います。どちらが良いというのではなく、その違いをよく理解してから参加するのがよいでしょう。